無痛分娩のデメリットは費用?安全性?

初めての出産は、誰しも不安に思うことがありますよね。

「無痛分娩」という言葉を聞いたことがあっても、周りに経験者が少ないことから、いまいちその安全性やデメリットなど、わからないことが多いですよね。

日本ではまだ普及されていない無痛分娩ですが、アメリカ、カナダ、イギリス、フランスなどでは、帝王切開を含め、麻酔を使用する出産は全体の7割以上にのぼります。

アジアでも、シンガポールや韓国では無痛分娩の割合が多く、中国や日本は世界的にも無痛分娩の割合が低い国と位置付けられています。

 

2018年にイギリスのキャサリン妃が無痛分娩で出産し、産後7時間で自らの足で歩いて退院した時には、日本では多くの驚きと心配の声が上がりました。

少しずつ認知されてきていたものの、まだまだ浸透していない無痛分娩。

ここでは、無痛分娩で一番気になる「安全性」と「デメリット」についてご紹介していきます。

また「無痛分娩」とはいえ、どれぐらい痛みを伴うかも、気になっている人のために、麻酔方法にも触れていきます。

無痛分娩とは?

無痛分娩は、分娩時の痛みを和らげる行為のことを言います。

痛みが全くない無痛分娩から、痛みを和らげる和痛分娩。

どちらも麻酔処置を行なっているため、「無痛分娩」と総称します。

安全性と痛みについて

・安全性

 

無痛分娩を安全に行うためには、施設や設備、人材が充実していることが重要とされています。

 

無痛分娩のための設備が整っている病院で出産する場合、無痛分娩によるリスクや深刻なトラブルが起こる可能性は低く、無痛分娩で亡くなる確率よりも、交通事故で亡くなる確率の方が高い、と言われています。

2017年に無痛分娩で妊婦さんが命を落とされた、痛ましい事故が報道されました。

その原因は、麻酔のチューブが間違った箇所に入っていることに気づかず、麻酔薬を注入したことにあると考えられています。

 

しかし、仮に誤った場所にチューブが挿入されていたとしても、適切な対応さえしていれば、重大なトラブルにならずに防ぐことができたそうです。

 

通常の無痛分娩をはじめ、さまざまな手術においても、ありえない麻酔のミスで、ごく一部の施設が引き起こした不幸な結果と言えます。

 

・痛みについて

無痛分娩とはいえ、痛みは全て取り除くわけではありません。

それは感覚がなくなると、いきむことができなくなり、お産に時間がかかってしまうためです。

通常の痛みを100とした場合、痛みの10〜20%程度を残すことで、出産を実感ができるようになります。

 

無痛分娩のメリット

・計画出産ができる

 

無痛分娩は、計画出産が可能になります。

家庭の事情で急な出産に対応しにくい場合、兄弟がいる場合に、計画的に出産できることで安心してお産に望めます。

 

 

・出産の恐怖や不安が軽減される

 

出産前の恐怖や、陣痛や出産中の痛みによるストレスが和らぐので、落ち着いて出産することができます。

 

・出産中の痛みや感覚は、麻酔で調整できる?!

無痛分娩専門の一部の病院では、麻酔薬の注入のタイミングを、ある程度調整することができます。それは、硬膜外麻酔の投与方法の違いにあります。

 

PCEA 

痛みを感じたら妊婦さんが自らボタンを押すことで、麻酔薬を投与する方法 (連続してボタンを押しても、過剰投与

にはならないよう、制限がかかっている)

PIB 一定時間ごとに自動的に麻酔薬が投入される方法

 

これにより、分娩の進み具合によって、痛みを調整することができます。

 

・産後の回復が早い

陣痛を軽くすることにより、体に余計な力が入らずに済み、体力の消耗も軽減できると言われています。産後の回復も早まり、精神的に余裕ができるのもメリットとなります。

 

無痛分娩のデメリット

・陣痛促進剤の使用

 

あらかじめ分娩の日を決める計画出産では、陣痛促進剤を投与し、出産を起こします。

 

また計画出産でなくても、麻酔薬の影響で、陣痛が弱くなり、分娩の時間が長くなる時は、陣痛促進剤を使用します。

 

これまで、無痛分娩では自然分娩に比べて出産時間が長くなると言われてきましたが、最近の研究結果によると、適切な無痛分娩であれば、その差がほとんど無くなってきたという報告が出てきています。

 

・麻酔薬の使用

無痛分娩には、背中側から背骨に針を刺して麻酔薬を注入する「硬膜外麻酔」が一般的です。

硬膜外麻酔は痛みを抑える効果が高い上に、母体への影響が少なく、薬が胎児へ届くことがほとんどないため、多くの国で採用されています。

 

・費用が高い

 

無痛分娩の費用は自然分娩に10〜20万円です。

 

「硬膜外麻酔」という麻酔を行うため、専門の麻酔科医による処置が必要になり、その分高額になります。

また、計画出産で陣痛促進剤を使うケースでは、その費用が上乗せされます。

 

自然分娩でも、時間外、土日、深夜などは追加費用が発生します。

 

分娩が進まない場合は、通常の出産と同じように、母体や胎児の安全を最優先に帝王切開での出産に切り替えることになります。

一番安くなるのは、「帝王切開」です。

帝王切開となると、手術扱いになり、健康保険が適用され、医療保険も使え流ため、金額は安くなります。

 

施設により、かかる費用は異なるので、気になる施設には直接問い合わせてみましょう。

 

・出産の痛みを経験しないと子育ては務まらない?!

無痛分娩は日本ではまだ全体の1割にも満たないと言われています。

日本には「お腹を痛めた子ども」という言葉があるように、忍耐を美徳と考える人もいます。

さまざまな意見があるとは思いますが、出産は母子ともに健康にいられることが最優先ですし、自然分娩でも無痛分娩でも、愛情の深さに違いはありません。

出産の選択肢の一つとして、考えてみるのもいいでしょう。

 

日本に無痛分娩が数ない理由

 

 

無痛分娩は専門性が高いため、緊急対応できる十分な医療体制が整える施設に限られています。また産科麻酔に詳しい麻酔医がいる施設が少ないことも、要因となっています。

 

無痛分娩の産院を選ぶ時のポイント

 

・安全性の高い施設を選ぶ

・無痛分娩の経験が豊富な産科医が複数いる

・無痛分娩の麻酔経験がある麻酔科医がいる(24時間常勤しているか)

・万が一の時に救急対応できる医療機関と提携している

・新生児に何か合った時に対応できる医療機関と提携している

 

また厚生労働省のホームページでは、無痛分娩を取り扱っている施設が取り扱っている施設の一覧があります。

こちらには「無痛分娩に関わる医師の人数(産科医と麻酔科医の合計)」や「全分娩件数」「経腟分娩のうち無痛分娩件数」が掲載されているので、施設選びの参考にしてみるのもいいでしょう。

 

※厚生労働省のウェブサイトに掲載を希望した無痛分娩取扱施設の一覧(平成30年12月14日時点)

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000186912.html

 

まとめ

 

痛みを和らげ、産後の回復が早くなる無痛分娩は、年々ニーズが高まっています。

 

一方、麻酔科医の不足や、スタッフも含め経験不足、十分な環境が整っていないなど、適切な無痛分娩の普及には、まだ多くの課題が残っています。

 

無痛分娩の安全性やリスクについて、十分理解し、納得のいく産院選びをすることが大切です。

 

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