免疫力は、加齢や生活リズムの乱れによって低下します。
最近では、自宅にいる時間が増えたことによる運動不足や、慣れないテレワークによるストレスで、知らないうちに免疫力を低下させてしまう要因が増えています。
ウィルスや細菌などの有害物質から、身を守ってくれるのが「免疫」。その防御力の強さが「免疫力」となります。
残念ながら、免疫力を上げる万能薬のような、薬や食品は存在しません。
しかし、免疫力を下げてしまう食品は、数多く存在しています。
ここでは「免疫力を下げる食べ物と上げる食べ物」について、ご紹介していきます。
慢性的に疲労や不調を感じている人は、これらの食品をなるべく摂取しないよう心がけてみましょう。
免疫とは?
免疫とは、「疫から免れる仕組み」のことです。
その仕組みは、「防御」と「攻撃」の二つに分けることができます。
「防御」は、異物が身体に入り込む前に排除する力です。
くしゃみやせき、鼻水など、粘膜を使って、身体への細菌やウィルスなどの有害物質を侵入を防ぎます。IgA抗体と呼ばれる免疫物質が、粘膜に分泌される働きを持っています。
「攻撃」は体内に侵入した異物に対し、攻撃をする免疫です。
マクロファージや好中球、NK(ナチュラルキラー)細胞と呼ばれる免疫細胞が、異物を分解する働きがあります。
例えば、ヒトの身体の中では、毎日5000ほどのガン細胞が発生していると言われていますが、体内にガン化した細胞ごと攻撃し、消失させるのがNK(ナチュラルキラー)細胞です。
他には、ワクチンで抗体を獲得することで、体内に侵入した異物を記憶し、効果的に排除する機能もあります。
「免疫力低下の原因」
・喫煙
肺には肺胞マクロファージと呼ばれる免疫細胞があります。
この肺胞マクロファージは喫煙することで、働きが低下することがわかっています。
また、喫煙者の唾液は、非喫煙者よりもIgA分泌量が低いことがわかっています。
・睡眠不足
平均睡眠時間7時間未満の人は、8時間以上の人に比べて3倍風邪にかかりやすいと言われています。また、唾液(だえき)中のIgA分泌量が低いなどの報告があります。
・運動不足
30〜60分間、汗を軽くかく程度の適度な運動が理想的です。
また、激しい運動は免疫力が低下してしまいます。
・ストレス
強いストレスは自律神経のバランスを崩し、免疫力の低下につながる原因となります。
日頃から自分なりのストレス解消法を取り入れるようにしましょう。
・食生活の偏り
加工食品や外食に頼りがち、好きなものだけを食べてしまう、自分で作っているけど調理法がいつも同じ…
免疫の機能がきちんと働いて、健康な身体を維持・増進するためには、1日3食バランスよく食べることが基本です。
なるべくたくさんの種類の食品からバランスよく、腹八分目で食べるようにしましょう。
規則正しく、バランスのよい食事が免疫力アップの基本です。
・過度の飲酒
アルコールが肝臓で代謝させるとき、アセトアルデヒドが作られます。
大量の飲酒は、肝臓がアセトアルデヒドを分解しきれなくなり、肝機能を低下させます。
肝臓は、食事からの栄養を必要な成分に作り替え、必要に応じて供給する役割があるため、この機能が低下することは、免疫細胞や抗体などの免疫システムに必要な養分が不足してしまうことになります。
また免疫細胞のマクロファージにダメージを与え、機能を低下させたり、働きを抑制させたりすることもあります。
がんによる化学療法を受けている人、糖尿病やHIVなど免疫を低下させる病気にかかっている人、高齢者、乳幼児、妊婦などは、免疫力が低くなっているので、普段から注意が必要です。
「免疫力を下げる食べ物・上げる食べ物」
日常生活で免疫力を高めるために、すぐに見直しやすいのは食生活です。
バランスのとれた食事を、適量とることが基本になります。
免疫力が下がる食べ物とは
・ファストフード
ファストフードの食べ過ぎは、免疫機能に悪影響を及ぼすとされています。
脂肪が多く、食物繊維が少ないと、悪玉菌が増え、腸内バランスが悪区なり、身体の免疫機能に悪影響を及ぼします。
・ジャンクフード
ジャンクフードに含まれている、トランス脂肪酸や人工甘味料、動物性脂肪酸は悪玉菌を増やしてしまいます。
・塩分過多
ラーメンやうどんを食べるときに、汁まで飲むのはNG!
世界保健機関によると、塩分の適切な摂取量は一日あたり多くても5g(約小さじ1杯分)です。麺類を汁まで飲むと、5〜5.5gの塩分が含まれており、一日の塩分摂取量を簡単に超えてしまいます。
塩分のとりすぎは、腎臓に負担がかかり、血液中にある免疫細胞を弱くさせます。
・糖分の摂りすぎ
サイダーやコーラーなどの炭酸飲料や清涼飲料水は、たくさんの砂糖が含まれています。
砂糖の過剰摂取は、腸内の悪玉菌を増やし、免疫力を低下させてしまします。
・アルコールの過剰摂取
過度のアルコール摂取は、肝機能を低下させることは、前述のとおり。
さらに飲酒によって体内に取り込まれたエタノールは、発ガン性が示されている物質に代謝されると考えられています。
免疫力を上げる食べ物とは
腸内には6〜7割の免疫細胞が存在します。
腸内の善玉菌が多く、環境が良好に保たれることで、免疫力は上がっていきます。
腸内細菌には「善玉菌」と「悪玉菌」そして「日和菌」があります。
善玉菌は、腸の働きを整え、病気に対する抵抗力を高めます。
悪玉菌は、有害物質を作り出し、腸内の腐敗を促進させます。
日和菌は、健康な時は無害ですが、善玉菌と悪玉菌のうち、優勢な方になびいて働きます。
腸内の善玉菌の割合を多く保つためには、できることは以下の3つです。
①善玉菌の摂取
②善玉菌のエサとなるものを摂取すること
③悪玉金を増やさない
・善玉菌の摂取
生きた善玉菌を摂取しても、腸内には一定期間しか存在することはできません。以前は生きたまま大腸まで届かないと意味がないとされていましたが、最近の研究では生きたままでなくても、腸内環境に役立つことがわかってきました。
発酵食品(ヨーグルト、チーズ、納豆、味噌味噌、ぬか漬け、キムチ)などの摂取が効果的です。
・善玉菌のエサの摂取
善玉菌のエサとなるのは「オリゴ糖」と「食物繊維」です。
「オリゴ糖」は、野菜や果物、豆類に多く含まれています。
「食物繊維」は、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維に分かれています。
「水溶性食物繊維」は、水に溶けやすく、水分を含んでゼリー状になり、腸内の老廃物を吸着し、体内に排泄してくれます。
キノコ類、海藻類、こんにゃく、などに多く含まれています。
「不溶性食物繊維」は、水に溶けにくく、水分を吸収して便のカサを増やし、腸に刺激を与えて活発にし、便通を促進します。
穀物、野菜、根菜類、豆類などに多く含まれます。
・悪玉菌を増やす食材
肉料理、マーガリン、ショートニングなどのトランス脂肪酸、人工調味料、動物性脂肪酸・またアルコールの過剰摂取やタバコも悪玉菌を増やす原因となります。
まとめ
免疫力は日常生活の中での、問題点を改善していくことで、高めることができます。
そのためには適度な運動や、睡眠、バランス良い食事など、基本的な生活習慣が大切になってきます。
最強の免疫細胞であるNK(ナチュラルキラー)細胞は笑うことで増加することがわかっています。
また、入浴などでリラックスし、血流をよくすることでも、免疫力を上げるのに効果的です。
できることから改善し、規則正しく健康的な毎日を過ごしましょう!